桜の季節
桜の季節が近づき、JRの桜のポスターを良く見かけるようになった。それを見ていつも思うのは、空が不自然に青く花の色が妙にピンクだ。これを不自然と感じるのはかなりな上級者だ。
昔から花曇りというように、桜の季節に快晴はまれだ。
子供の頃、桜の絵を描けといわれたら、桜を観察することなく、まずピンクのクレヨンで描いていただろう。これは、桜=ピンクという固定概念からくるものだ。これを記憶色という。事実はどうであろうと、頭の中に、桜=ピンクというイメージが記憶されているのである。
春の花見の代表種であるソメイヨシノは改めて眺めてみると良い。色はとても薄く、ほとんど白に近い。しかし、人は桜はピンクだと思ってしまうのである。
この人の記憶色通りの色の絵を見せられると人は満足する。これがJRのポスターである。人の記憶色で色を再現するフィルムがあった。フジクロームベルビアである。だからそういう向きにはとても人気があった。
現実は、桜の季節は曇り勝ち、ソメイヨシノの花びらはほとんど白。ということで、白いバックに白い花。人の目は立体視が出来るので花を浮かび上がらせて見ることが出来るが、これを写真にすると2次元平面になるので、白いバックに白い花びらでは全くさえない写真になる。撮った後で、えっ、こんなだっけ?もっときれいだったような気がしたが、となる。しかし、そういうシチュエーションで桜を眺めているとき、”さえないなあ”という気持ちで眺めているかと言うと、決してそうではない。どんな曇天であっても道行く人は桜の木の下で思わず”きれいだなー”と立ち止まってしまうのである。つまり人は十分感動しているのである。こういう現実を踏まえて、ただ記憶色に走るのではなく、リアルさを表現するような、晴天にピンクの花びら、ではなく、でも見ていて心地よい写真、そういう表現が出来ないものだろうか。写真を志す人にはぜひそういうことを考えて欲しい。
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